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クリティカルシンキングとは
クリティカル・シンキングは英語の「critical thinking」で、日本語では「批判的思考」とも訳されます。
最近、「クリティカル・シンキング」への注目が広がり、ビジネスでも重要な能力だという認識が広まっています。ただし、クリティカル・シンキングを単に「批判すること」だと勘違いしている人も多く、その誤解も多くなっています。
受験英語では、クリティカルを「批判的」という訳で覚えてきましたが、「critical」の語源はギリシャ語の「分析する」「見分ける」という意味です(Fowler & Aaron、1998)。
「批判的」という日本語には否定的なニュアンスがありますが、クリティカルには否定的なニュアンスはないことがわかります。分析したり、見分けたりするという意味なのです。それをふまえると、クリティカル・シンキングは「批判すること」ではなく、「よく分析して考える」というニュアンスが正しいでしょう。
クリティカル・シンキングの定義
そもそも、クリティカル・シンキングとは「与えられた情報や知識を鵜呑みにせず、複数の視点から注意深く、論理的に分析する能力や態度」という意味です(鈴木、2006)。
ここで重要な点は「鵜呑みにせず」「注意深く」ということです。
「鵜呑みにせず」「注意深く」分析する能力こそがクリティカル・シンキングなのです。
ということは、批判的な結果をいうことがクリティカル・シンキングではないということです。
何を分析するか?
さらに、クリティカル・シンキングの定義では、「与えられた情報や知識」を分析するということになっています。この「情報」には様々な考え方や慣習が含まれます。そして、情報の源は他人ばかりではなく、自分自身も含まれます。
考え方を分析するということは、論拠や証拠の信憑性、ストーリーなどを分析するということでもあります。
また、慣習を分析するということは、伝統や社会的な常識、前例なども注意深く分析しなければいけません。そこには、権威者や支配者・有力者、大多数の意見、世論なども分析するべきものになります。
「偉い先生がいうことだから」「世間がそう考えるから」「今まで前例がないから」というような考え方はクリティカル・シンキングの能力を持たない人の発言であるといえます。
さらに、「自分自身」も分析の対象となるということから、自分自身が信じている価値観やセンスなども客観的にとらえて、分析することが必要なのです。
「分析」とは何か?
では「分析」とはどのような行動なのでしょうか?Fowler & Aaron(1998)によると、クリティカル・シンキングには「分析」、「統合」、「解釈」、「評価」の作業があるとしています。分析は、「分解して要素、側面を明らかにする」「統合していき」、「解釈」「評価する」ことです。解釈、評価のときには、正確に受け止めた情報を、自分を通してみるとどうなるかという「想像力」や「創造力」を込めなければならないです。